苺の痺れ

毎日疲れている。疲れても疲れても終わりがない。一緒にいる人を楽しませることができない。言葉が出てこない。眠っていたい。目が悪い。バラバラになりそうなのを精一杯堪えている。庭の木の下に眠る犬を思い出すと少し安らぐ。着る毛布はあたたかいけどどこにもポケットがないから、あたたかいふわふわに包まれているというのに、時に苛ついてしまう。部屋は冷たい。それでも手足に滲む汗が鬱陶しい。くしゃみをコントロールする腹筋がない。ぶしゃんとやったら別部屋の犬が吠えた。好きな作家の本を枕元に置くとほっとする。自分に似合う髪型がずっとわからない。似合う似合わないはもうどうでもいいような気もしてくる。配信終了が明後日に迫った有料研修動画を流し見ながら作業をした。危うくお金を払っただけで満足し、見ずに終わってしまうところだった。一瞬覚えたカタカナの専門用語をすぐに忘れた。目が痒い。足の裏が熱い。仕事のことばかり頭に浮かぶのが本当に嫌だ。明日の朝は今晩残したチキンカツをパンに挟んで食べたい。友人に本音が言えない。いやそんなこともない。全部本音だけど言える本音と言わない本音がある。