春だ。職場が変わった。新たな仕事の一環として、たんぽぽや鳥や空を眺めながら半日ぼんやり立っていたら、鈍い焦りを感じた。休憩を丸1時間取れた。なんでもない日に定時で上がれた。静かな環境。1日目はこんなに快適な職場があるのかよと感動したけど3日も経つと無味だ。

ここでの仕事は、死にそうな人にも困り果てた人にも傷ついた人にもかかわることはない。暴力を受けた人も金銭を搾取された人も放置された人も尊厳を奪われた人も、私が今までに関わってきた人たちは、たしかにいるのに、ここでの仕事には関係なくなった。この数年間、毎日誰かの困りごとを聞いてきた。解決できるものもできないものもあった。できないことのほうが多かった。愚痴や痛みや怒りや本音や嘘を、目の前にいる人たちの話を聞いてきた。休憩取れないのが当たり前、トラブルも当たり前、騒がしいのが当たり前の毎日だった。

もう疲れた嫌だ休みたいと弱音を吐いていたが、いざそこから離れてみると、どうやら私は寂しがっている。物足りないとさえ思っている。人の話を聞きたいと思っている。ないものねだりだ。

しばらくは休もう。単調な日々には慣れていくのだろう。仕事以外のやりたかったことに時間を使おう。私は何がしたかったんだっけ。たくさん眠りたかったはずなのにどうでもいいインターネットで時間を浪費している。

苺の痺れ

毎日疲れている。疲れても疲れても終わりがない。一緒にいる人を楽しませることができない。言葉が出てこない。眠っていたい。目が悪い。バラバラになりそうなのを精一杯堪えている。庭の木の下に眠る犬を思い出すと少し安らぐ。着る毛布はあたたかいけどどこにもポケットがないから、あたたかいふわふわに包まれているというのに、時に苛ついてしまう。部屋は冷たい。それでも手足に滲む汗が鬱陶しい。くしゃみをコントロールする腹筋がない。ぶしゃんとやったら別部屋の犬が吠えた。好きな作家の本を枕元に置くとほっとする。自分に似合う髪型がずっとわからない。似合う似合わないはもうどうでもいいような気もしてくる。配信終了が明後日に迫った有料研修動画を流し見ながら作業をした。危うくお金を払っただけで満足し、見ずに終わってしまうところだった。一瞬覚えたカタカナの専門用語をすぐに忘れた。目が痒い。足の裏が熱い。仕事のことばかり頭に浮かぶのが本当に嫌だ。明日の朝は今晩残したチキンカツをパンに挟んで食べたい。友人に本音が言えない。いやそんなこともない。全部本音だけど言える本音と言わない本音がある。

冷凍餃子を10個食べると舌と胃が疲れる。水・油入らずでハネ付きパリッとのはずが、フライパンのテフロン加工が劣化しているのか皮とハネはまったく剥がれず、餃子をひとつ食べようとするたびに箸の先でガシガシと底をこする力強い作業が必要で、食べながらいらいらした。別の鍋で作ったトマトと卵の炒め物はトマトの味が悪くてつまらなかった。アサヒのマルエフはうまい。でも平日に飲む酒は吉と出るか凶と出るかわからない。今のところあまり良くない。

5日前に消費期限が切れた豚こま肉を焼いた。でも消費期限その日に発泡トレーごと冷凍室にしまっておいたから大丈夫だと思う。冷凍玉ねぎの残りと肉と生姜をごま油で炒めて醤油と蜂蜜で味付けした。できたてをつまんだらおいしく感じたけど時間が経つと肉がぼそぼそ固くなって、遅すぎた、と思った。食べごろを過ぎた肉はおいしくない。でもまずすぎることもない。器に盛ったのを食べ切る前に気持ちが落ち込んでしまって、残りはタッパーに詰め込んだ。

 

仕事が毎日たくさんある。あまり考えないようにしている。帰り道、後輩の車が横切って行った。手を振ってくれたのが嬉しかった。振り返せたのも嬉しかった。

5日前に消費期限が切れた豚こま肉を焼いた。でも消費期限その日に発泡トレーごと冷凍室にしまっておいたから大丈夫だと思う。冷凍玉ねぎの残りと肉と生姜をごま油で炒めて醤油と蜂蜜で味付けした。できたてをつまんだらおいしく感じたけど時間が経つと肉がぼそぼそ固くなって、遅すぎた、と思った。食べごろを過ぎた肉はおいしくない。でもまずすぎることもない。器に盛ったのを食べ切る前に気持ちが落ち込んでしまって、残りはタッパーに詰め込んだ。

 

仕事が毎日たくさんある。あまり考えないようにしている。帰り道、後輩の車が横切って行った。手を振ってくれたのが嬉しかった。振り返せたのも嬉しかった。

疲れても疲れても果てがない労働から逃れるように海へ行く。海まで車で小一時間。運転は得意ではないが運転しているときはそれだけに集中できるからいい。10月の海は数ヶ月前に見た景色よりも彩度が低く、流木が砂浜を埋め尽くしていた。巨大な木の幹に虫取り網が絡んだものが波打ち際で存在感を放っていた。長さ1メートル2メートルくらいの木の枝が砂浜のあちこちに突き立てられて墓標みたいだった。墓、波、墓、波。東の空にはパラグライダーが飛んでいて、そこだけ時間の流れが違って見えた。波のそばを歩くと、視界の端で何かがサーッと動いた。立ち止まってよく見てみると、正体は灰色の蟹だった。海の反対側の山で鳥が騒いでいた。鳥が飛ぶ空のもっと手前で白い凧が飛んでいた。海の風のべたつきを感じながら10分くらい歩いた。西日を反射する波がまぶしく、まともに目が開かなかった。犬の足跡を見つけてうれしかった。

海に行けたことにほっとして帰った。途中でかい本屋に寄ろうと思ったが、地下駐車場がだるいのでまっすぐに帰った。ラジオで流れる洋楽の名前を頭のなかに留めて置けない。ひまわり畑の跡地には何もなかった。萎びて項垂れるひまわりを見るよりも何もないほうがよかった。

 

2022年8月6日

食べたもの・飲んだもの

朝食 ゆうべの残りのにゅうめん ネパールティー

昼食 たこ焼きねぎポン酢 マクドナルドのポテトL

夕食 ごま豆腐 ネパールティー

 

読んだもの

自転車屋さんの高橋くん(松虫あられ)webで読めるところまで

・Artiste(さもえど太郎)①〜⑧

・神クズ⭐︎アイドル(いそふらぼん肘樹)⑥

 

聞いたもの

・はなたば(シャムキャッツ

・シーグラス(ストレイテナー

 

入ったもの

・風呂 入浴剤入り

 

買ったもの

・入浴剤

・ゴミ袋50枚入り

・マウススプレー

・歯ブラシ2本

・58円のスポーツドリンク

ソルティライチ

 

漫画読むと漫画描きたくなる。